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コピーライティング

背筋が凍るほど秀逸な「母の日」のCM

こんにちは、母の日のプレゼントはもう買いましたか?

え、まだ買っていないんですか?

母の日はお母さんに、日頃の感謝の気持ちを伝えることができる数少ないチャンスですよ!

せっかくだし、親孝行しなきゃっ・・・!!

・・・。

っと、言われると、な~~~んか嫌な気持ちというか、操作されているというか、逆に反発して「母の日なんぞ何もしないぞっ!」っという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか?

そうなんです。

人は気持ちって複雑だから、相手が言うことがストレートに正しければ正しいほど耳をふさぎたくなるモノです。

(いや、言ってることは分かるんだけどね。)

てなるものです。

今回はそんな『正論』を相手に真摯に受け取ってもらうために役に立つライティング技術である「ストーリー」について紹介しましょう。

この「ストーリー」の力を使えば、心がホロホロにほだされて、あなたの言うことを何でも聞いてくれる可能性があります。

いつも部下に「耳痛」な話をして、話すら聞いてもらえなかった上司であれば、ストーリーの力を使って名スピーチをすることができるようになります。

今回は『母の日のCM』で秀逸なモノを見つけたので、こちらのストーリーを題材にしていきましょう。

目次

背筋が凍るほど秀逸な『母の日のCM』

まずはこちらのCMを御覧ください↓

普通にボケーっと見るのではなく、どこにこのCMのエッセンスがあるのかを深く考えながら見ていくことをオススメします

この母の日のCMのポイント

細かいストーリーのポイントを解説する前に、大前提のことを言います。

ストーリーを使うのは、

『伝える』のではなく『伝わる』

という状態を作るためです。

「母の日にプレゼントしろよ!」っと”伝える”のではなく、「あぁ、そういえば母の日っていつだっけ?なんかプレゼントでもしようかな。」っと思ってもらえるようなムードが”伝わる”ことが大事。

例えば、漫画のワンピースのルフィも『仲間って大事だよな!俺たち最高の仲間だよなっ!』みたいなことは言われないじゃないですか?

そうじゃなくて、仲間のために屈強な敵と戦ったり、命をかけてでも仲間のために行動ができる姿に胸を打たれて、『仲間の大事さ』が伝わるんですよね。

これが『仲間は大事だ!』ばかり言っていても、なんか冷めてしまうし、心打たれることもないから、つまらない話になってしまいます。

最近では自己啓発本も『嫌われる勇気』や『君たちはどう生きるか』などのストーリー仕立ての本が人気であり、登場人物に共感をすることで、少し「耳痛な内容」もスッと受け入れることができるわけです。

なので、ストーリーを使うのはムードを作ること。

ムードを作り、登場人物たちに共感し、自分も行動を起こしたいっと思ってもらうような空気感を醸し出すことが、ストーリーを使うメリットです。

そして、、

今回の『母の日のCM』では、「母の日にプレゼント買ってあげなよ!」っという耳痛なオファーがされています。

そんな大人になったら、誰もが一度は「気まずさ」を感じたことがある「母の日にプレゼントを買うかどうか」という障壁を、うまく超えるテクニックが詰まっているCMなので、是非ネタあかしをしていきましょう。

【1】ストーリーの始めは「共感」から入る

まずストーリーの導入は重要です。

ここでいきなり橋本環奈とかが出てきて「母の日のプレゼントは買いましたかー?今西武ではセール中だよ!」みたいなことを言われると、アウト。

(うわぁ、これは耳痛っ・・・!!)

っとなって、速攻でこのCMを飛ばされてしまいます。

じゃあ、まずはどうすればいいのかというと、ストーリーの導入は「誰もが共感できるようなシチュエーションを描く」というのが王道です。

今回のCMでは、「大学の教室でテストを受ける」という非常にありふれたシーンが導入となっていますよね?

こうやって誰も今までの人生で感じたことがあるようなシーンを描いてあげることで、まず物語の世界に入り込んだような気持ちになります。(これを共感とも言いますが)

こういった『日常のあるある』なシーンから導入されると、人はその世界観を理解しやすくなって、話を理解しやすくなるんですよね。

逆に、この導入が非現実的な空間から始まってしまうと、僕らは混乱してしまいます。

たとえば、2種類の宇宙人が知らない言語をしゃべりながら、いきなり戦争をし始めたら、、もう意味不明じゃないですか?笑

その世界観とかを理解するのにエネルギーをめちゃくちゃ使ってしまって、「もういいやっ!」ってなっちゃうのです。

だいたい人気の映画・漫画とかも、最初のシーンは誰もが共感できるようなシチュエーションから導入してるものなんですよね。

最近ボクがハマっている『Dr.Stone』というマンガも、人類がほぼ全員石化したけど、主人公が3700年後にいきなり石化が解けて、『さぁ!人類を救おう!』という何ともハチャメチャな設定なのですが、最初のシーンは「男子高校生が好きな子に告白する」という和やかなシーンから始まります。

やっぱりいきなり人類が石化しても「なんで?」ってなるので、その日常の世界をまずは描くことで、その作者の世界観に入り込みやすくしているんですよね。

この『導入のシーンは日常から』というテクニックは、もはやどの物語でも使われている王道テクニックです。

【2】日常の世界に違和感を演出する

かと言って、普通に日常の世界がずーーーっと続いたら、クソつまらないCMになってしまいますよね?笑

普通に頭のいい東大生がテストを受けて、みんなが成績が良くて、「イエイっ!」みたいな・・・笑

やっぱりそうなってしまうと、物語が面白くならないので導入で『共感』させたら、次のスパイスを入れる必要があります。

それが今回のCMで言えば、「違和感」や「障壁」っと言うと分かりやすいのかなっと思います。

「その正答率、、33%」(1分8秒のところ)

「受験より難しい」

ここで「東大生なのに、解けない問題ってなんだ?」っという違和感を覚えるし、そんな超難問にぶつかる東大生たちに感情移入してしまいます。

ここで感情移入が起こってしまうのも、最初に日常の世界を見せられて、それに共感してしまっているからなんですよね。

【共感=自分ごとだと思う】

という意味なので、なるで受験生たちに自分がなったかのような気持ちになった上で、困難と直面するからこそ「うわぁ、どうしよう」とか「困ったな、うーん」という感情移入が芽生えます。

・日常の世界(共感)→日常が壊れる瞬間(障壁)

・学校の教室でのテスト(共感)→超難問のテストが出てきた!(障壁)

こんなかんじの関係が成り立ちます。

この流れも、面白いストーリーには王道の流れ。

ここまで見てしまったら最後、このCMがなんのCMなのかが気になって見るしかないっという状態になります。

【3】問題を解決する試練に立ち向かう

さて、この超難問に対して、どうやってこの困難を超えていくか?

というポイントが、物語では重要になっていきます。

もちろんこの問題があっさりと解決してしまっては、ストーリーとしての臨場感に欠ける部分が出てくるので、問題を解決するにも『試練』に立ち向かう必要ができてきます。

そして、このCMに登場した受験生たちの試練とはなにかっと言うと・・・

『母親と真正面から向き合う』

という試練です。

ちょっと思い出してほしいんです。

このCMが伝えたいメッセージは、『母の日にプレゼントしようね』という耳痛メッセージです。

そして、なぜそのメッセージが耳痛なことになるのかというと、『今さらプレゼントなんて、、』という”気恥ずかしさ”があるからだと思うんですよ。

であれば、CMの登場人物である受験生たちに”母と面と向き合う気恥ずかしさ”という試練を与えて、それを乗り越える様子を描写しています。

んで、この試練を乗り越えている様子に、人は行動するエネルギーをもらえたりするんですよね。

ルフィが仲間を守るために強敵と戦っている姿に胸が熱くなるのも、ドラえもんがいなくても自分は強く生きていけると証明するためにのび太がジャイアンに立ち向かう姿に心が打たれるのも、そういった試練に立ち向かっているからです。

今回のCMでは、『母と向き合う』という試練を超える姿を描写し、そこに感情移入をさせることで、今まで気恥ずかしいと思っていたことに対して考え方を改めるキッカケを感じることができます。

これは「お前、実家の母親を大事にしろよ!」とか「お前、母親のことどれくらい知っとるんじゃ」って、ストレートに伝えられるよりも、ストーリーのほうが伝わるんですよね。

【4】人の成長を描く

あとは、試練をクリアしたことによって、登場人物の成長を描くことも重要です。

これだけ試練を乗り越える姿に感情移入をしても、人ってヤツは薄情な生き物です。

「んで?結局何を得たの??」

という感じで、頑張った先に何らかの報酬を求める生き物です。笑

まあ、この「報酬」というのはお金や形あるモノじゃなくても良くて、「人の成長」でもいいんです。

今回のCMでいえば、『母と正面から向き合う気まずさ』と戦うことによって、その過程で昔の記憶を思い出したり、小っ恥ずかしい話をしている間に今まで疎遠だった母親と仲良くなったり、「やっぱり母親って大事だな」っと思える成長が見られたり。

そんなかんじで登場人物に成長や心境の変化を描いてやると、そのストーリーを見た人は『母と向き合う気まずさ』と戦うベネフィット(利益)を見出すことができるんです。

まあ、赤裸々に話したあげく、特になにも得るモノがなかったら、頑張り損だし、人に行動をさせるためには「ベネフィット」というモノは必須なんですよね。

物語の世界に人を引き込んでおいて、成長までのストーリーを見せることで、これがあなたにも手に入る未来なんですよっというメッセージが”伝わっている”んです。

しつこく言いますが、伝えているわけではないですよ。

ストーリーで語ることによって、「伝わっている」んです。

【5】最後にオファーをする

そして、ここまで感動的なストーリーを見せるだけ見せて終わり!!

・・・というのも、あまり良くないです。笑

なぜなら、CMの製作者側としては自分たちのお店で「母の日のプレゼントを買おう!」っていうメッセージを言いたいんです。

ってか、本来ならストーリーとかどうでもいいから、「うちの商品を買ってくれ!」って言いたいくらいなんです。(それだと買わないですが)

なので、ストーリーで受け手側のモチベーションが上がっている状態を作ったら(そういうムードを作ったら)、必ずなにかしろのオファーをすべきです。

このCMの最後には「母の日は、母をちゃんと知る日にしよう。」というオファーがありますが、これだけだとちょっと弱いという印象を受けますね。

もちろん、今までの世界観を壊さないために、変な言葉のチョイスができないので、スマートに言ったほうがいいとは思いますが、もうちょい具体的にオファーをしたほうがいいような気もします。(個人的には)

最後の画面ですが、これくらい書いてもいいのでは?

っというのが、個人的な感想ですが、どうなんでしょうか・・・!

とにかくものすごい完成されたストーリーで、めちゃくちゃ引き込まてしまいました。見事っす西武・SOGOさん。

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